600seconds -THE DEEP CHURCH-

個人的評価 ★★★
オススメ度 ★★

 本作はアイテムを収集する探索パートと、そのアイテムを駆使して敵と戦う戦闘パートの二部構成となっている。ゲーム開始時、まずプレイヤーには600秒の制限時間が与えられ、その時間を使って広大な教会内を歩き回り武器や回復アイテムを集めていく。教会はただでさえ広いうえに構造も複雑で、隠し通路や開けるのにアイテムが必要な扉まである。初回プレイではろくに物資が集まらないまま時間切れになることだろう。そうして600秒経つと雰囲気が一転、薄暗く変わり果てた教会の中を化け物を倒しながら進んでいく戦闘パートが始まる。戦闘パートでもアイテムの補充が無くもないが、基本的には探索パートで集めたアイテムをやり繰りしながら進むことになる。最後に待つボスを倒せばゲームクリア。1プレイ1時間程度で終わる小粒なゲームだが、基本的に死に覚えゲーで何度もスタート地点に戻されるのでトータルのプレイ時間はそこそこかかる。

 しかしぶっちゃけ…内容としては割と酷いと思う。数々の要素が無視できないレベルで雑すぎる。敵はこっちの攻撃に対してひるんだりとかダウンしたりとか一切なく常に全力でこっちに突っ込んでくるのに、プレイヤー側はダメージモーションがあるしダウンもする。不公平だろ!おかげでダメージを必要経費と割り切って回復と火力でゴリ押す筋肉バトルになりがち。画面も見づらく、明るいところは白が飛ぶくらいめちゃ明るいのに暗いところはほんとに真っ黒で何も見えん。ちなみに設定で明るさをいじろうと思ってもオプションの項目にグラフィック設定は無い。極めつけはダメージ判定だ。プレイヤーのダメージモーション中は無敵のはずなのだが、貫通系の攻撃が当たるとたまに多段ヒットして問答無用で即死することがある。このゲームにはセーブポイントとか中間地点なんて無い。死んだらゲームスタートからやり直しだ。いくら短いとは言え30分とか40分とかいうプレイ時間がこんな理不尽なことで全て消し飛ぶというのはたまったものではない。

 逆にプレイアビリティ以外の面は良く出来ている。クトゥルフ神話の「深きもの」モチーフにした敵のクリーチャーのデザインは、粗いながらも上手い具合に気持ち悪く禍々しく描かれている。探索パートの明るい教会ですらもどこか異様な空気が漂っていて雰囲気作りはバッチリだ。戦闘パートではリコイルコントロールの重要性が高いことが今時のゲームにしては硬派で面白いと思った。どの武器も射撃時の反動がやたら大きくてサイトが跳ねまくるため、1発1発をちゃんと狙って当てていかなければならない。連射武器であるはずのマシンガンですら刻みながら撃たないととてもじゃないがろくに当たらん。三点バーストとかもはや死語になりつつあるというのに。硬派だなあ。

 とまあごちゃごちゃとゴタクを並べ立てたものの、極めて個人的なことだが結局のところ最後はコンセプトの勝利だった。拙者、華奢な少女がゴテゴテの銃火器持ってグロいクリーチャーと戦うシチュ好き侍で候故、このゲームに対する不満は山ほどあるが最終的にはそのコンセプトが気に入ったという一点だけである。これが敵がロボットだったり武器が剣とか魔法的なものだったりしたらたぶん途中でプレイを投げていただろう。ゲームを遊ぶ動機なんてのはそんなモンだ。

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[steam] 600seconds -THE DEEP CHURCH- deepモードクリア

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