B67

個人的評価 ★★★
オススメ度 ★★

 地味。すっごい地味なトップダウンシューター。今や定番ジャンルとして確固たる地位を築き、見た目もシステムも個性豊かな新作が次々とリリースされているこの界隈。そんな中、本作はびっくりするほど簡素で地味なゲーム内容である。プレイヤーは特殊部隊のようなコンバットスーツに身を包み、フロアを占拠している(たぶん)テロリストを排除しながら「地下67階」を目指し進んでいく。操作系統はオーソドックスなもので、歩きとダッシュと前転、武器は2つまで持つことができる。っていうかそれしかない。何かボムやバレットタイムのような強力な特殊能力だとか、装備にランダムなオプションが付与されたりだとかそういったハイカラなものはこの硬派ゲーには一切存在しない。マップは狭く、武器は少なく、会話シーンどころかNPC自体がまったく居ない。製作コストなどの都合でそういった要素を取り入れることができなかったという事情もあるだろうが、それにしても相当割り切ったゲームデザインだ。

 立ち回りもとっても地味。縦横無尽に走り回り群がる敵をバッタバッタとなぎ倒すようなゲームではない。何しろ自キャラはとても弱く、1対1ならまだしも複数相手に真正面から撃ち合ったらだいたい自分が死ぬ。部屋に入る時はクリアリングを怠らず、曲がり角には細心の注意を払い、形勢が不利と見れば恥を捨て背中を向けて逃げるのだ。生き延びたければヒーローになろうなどと考えてはいけない。個人的にはそういった地味な攻防がまさに特殊部隊って感じでかえって楽しかった。ひたすら敵と戦うだけのゲームではあるが、その逆説として敵と戦う前の立ち回りこそが勝敗を左右するタクティカルなゲームでもある。ワンチャンスでどこからでも即死するので気が抜けない緊張感が心地良い。

 そしてもうひとつ重要なところで、軽くネタバレになってしまうのだが実はこのゲームには「ホラー要素」がある。ただのトップダウンシューターに見せかけて…という、いわゆる「.exe」的なテイストが若干含まれている。といってもこれもまた味付け程度の簡素なもので、あくまでメインはシューターだ。

 とても安っぽい作りで実際低価格。でも噛みしめてみると味わい深くてなんだか愛着が湧いてくる。他人にはオススメできないけど個人的には好き、っていういかにもインディーズな感じのゲームだ。

[動画]

[steam] B67 no death clear

[リンク]

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