ウルグアイ人のゲーム開発者が実に5年ちかい歳月をかけ、ほぼたった1人で作り上げたというベルトスクロールアクション。正直完成度はめちゃくちゃ高いと思う。過去に数多く存在したベルスクの良いところだけを抽出したようなゲームだからそりゃまあ面白くなるのは当然っちゃ当然なんだが、その良いところがどこなのかを理解して形として再現するのは簡単なことではないはずだ。敵の行動アルゴリズムなんかにもそれが現れていて、難易度を上げると単に敵の数やダメージが増えるだけでなく、敵が間合いを取ったりこちらの背後を取るように回り込むような動きをするようになる。ベルスクでどういうことをやられるとプレイヤーが苦戦するか、製作者はよく理解してる。質だけでなく量もなかなかのもので、ルート分岐のおかげもあってステージ数はかなり多く、一通りエンディングを見るだけで相当遊べる。おまけモードやアンロック要素も充実していてよくぞここまで作り込んだなと思う。
システムとしてはカプコン系よりも戦国伝承とかのほうが近いかなという感じ。浮かせからのコンボやゲージを消費しての必殺技など、プレイヤー側の攻撃性能がとにかく高くて爽快感があり、単純に敵をぶん殴ってるだけでもう楽しい。敵に体力以上のダメージを与えることでオーバーキルというボーナスが発生するのだが、その際に敵が爆発四散するのが気持ち良くてつい無理に狙ってしまうのもニクい仕様である。しかしこれもまた宿命のようなもので、プレイヤー側が高性能であればあるほど、敵もまた強くせざるを得ないものだ。そうしないとゲームにならないからな。敵を殴ってる時は確かにめちゃくちゃ楽しいのだが、こっちが攻撃される時には若干の理不尽さを感じてしまうことがある。そもそもからして敵のリーチがクッソ長い。こっちの通常攻撃は半〜1キャラ程度しか届かないのに対して、敵のほぼ全てがそのリーチの外から攻撃してくるのがとてもイヤらしい。おかげでファイナルファイトのようにパンチを置いておいて敵が寄ってくるのを待つような戦い方はできない。無敵突進してくる敵に左右から挟まれたりなんてことが平気で起きるので、死ぬ時は何もできずに瞬殺されるぞ。
とは言えベルトスクロールってのはそういうモンだ。その中でこのゲームは間違いなく良作と言える部類であり、往年のベルスクファンならば必ずや満足できるはずである。
[steam] ファイト&レイジ FIGHT'N RAGE hardest NPC-coop Aエンド