完全に見た目だけで購入したゲーム。ストアにはレビューが全然ついてなくて明らかに人気無い感じだし、アクション好きのフレンドや参考にしているキュレーターも総スルーだったのでダメで元々、内容にはまったく期待していなかった。しかしやってみるとこれが意外と楽しめる。ベストではないが十分だ。生みの親（製造者？）に捨てられたぬいぐるみの「ロウ」は現実とも虚構ともつかない奇妙な世界へと迷い込んでしまう。そこは彼と同じく捨てられた者たちが「堕ちてくる」世界であり、住人たちは日々レッドワンと呼ばれる支配者の圧政に怯えながら暮らしていた。自分を捨てた者たちへの復讐を誓ったロウは元の世界に戻ることのできる「鍵」を探すため、またレッドワンの支配から逃れるため旅立つのであった。なんだか童話のようなメルヘンチックな導入だが、実際にプレイヤーの目に入ってくるのはコンクリートの壁や炎上するスクラップや警棒持って追いかけてくる治安維持部隊である。
基本的には銃を撃ちまくりながら敵を倒したり落とし穴を飛び越えたりして右へ右へと進んでいき、エリアの最後に待つボスを倒して次のエリアへ…というお馴染みのスタイルのアクションゲームだ。メイン武器は標準装備で弾数無限のハンドガンのほか、敵がランダムで落とす使い捨てのサブマシンガンとバズーカ、さらにゲージ消費で使える強力なボムのようなものがある。このタイプのアクションとしては武器の種類が少ない一方、最初から２段ジャンプやダッジロールが可能で自キャラの機動性はそこそこ高い。操作にちょっとしたクセがあるので慣れるまでは思い通りに動かせずストレスが溜まるかもしれないが、軽快に動けるようになるとスタイリッシュに敵の攻撃を捌くのが楽しくなってくる。特にこのゲームはボス戦が良い。どいつもこいつも姿からして個性的で強烈なインパクトがあり、その攻撃方法も多くの工夫がなされていて攻略しがいのあるボスたちだ。ラストバトルは演出もアツいぞ。
ただし難易度はけっこう高い。体力に関係なく一撃で即死するポイントは沢山あるし、ボスも基本的に死んで覚えろな初見殺しでガンガン攻めてくる。死んだところでチェックポイントに戻されるだけでペナルティはほぼ無いし、そのチェックポイントも頻繁に更新されるのでそれを加味しての高難易度なのだろう。そして何よりこのゲームには成長要素がある。敵との戦闘やステージ途中にあるショップでアップグレードポイントを獲得することができ、それを消費してキャラクターを強化していくのだ。強化できる項目は少なく最終的には全部上げることになるので何かビルドのようなカスタマイズ性は無いが、敵の強さはこれを前提としたものになっているので攻略には重要な要素だ。無視できるからといって稼ぎポイントを素通りしてガンガン進むと後で地獄を見ることになるぞ。オレのようにな。
あとクリアまでに２か所ほどアクション性皆無のガチの謎解きパートがある。幸い英語が読めなくても解けるようにはなっているが、ろくに敵の出てこないマップをひたすら右往左往し続ける時間は人によってはアクションパートよりもキツイ戦いになるだろう。
アーケードライクなトライアンドエラーのゲーム性と、メトロイドヴァニアなどの自キャラを強化していくゲーム性、両方を併せ持ったイマドキのアクションゲームである。これを中途半端と捉えるかオイシイところを摘まんだと捉えるかは人それぞれだが、私は気に入った。最大の難点はたまに物理エンジンが暴走して異次元に吹き飛ばされることだな。