まじかるまじっくワールド

個人的評価 ★★★
オススメ度 ★★

 ファンメイドではなく、ゲーム制作系Vtuberとして活動する作者が「自分をゲーム化」したというもの。登場する敵のボスもみんなVtuberだが、主人公含めあくまでゲームの中のキャラクターとして出演しているというだけであって、Vtuberを題材にしたゲームというわけではない。作者は数年前からYoutube上でゲーム制作の様子を見せる、いわゆる作業配信をずっとやっていて、私は初期の頃からそれを追いかけていた。かつてはゲームというものは実物をプレイしてから後でインタビュー記事などでその裏舞台を知るものだったが、最初に裏舞台を見てから後で完成した現物をプレイするというのは現代ならではの体験だ。

 ゲームとしてはロックマンオマージュの2Dプラットフォームアクション。おなじみのステージセレクト画面から始まり、ステージを進んでおなじみのシャッターの先にいるボスを倒せばそのボス固有の特殊能力を使えるようになる、というおなじみのゲームフローだ。とは言え実はそれってけっこう珍しいんだよな。同人やインディーズにロックマンライクなゲームは数多くあるのだが、そういったものはだいたいX〜ZEROをベースにしていて無印系のデザインをきっちりなぞっているものがあまり無いのだ。オマージュ作品ではあるがそのオマージュがかえって本作の個性になっていると言えるだろう。

 調整のほうもだいぶ「初代寄り」。倒したボスの特殊能力を上手く使って進んでいくのはシリーズ伝統ではあるが、本作は完全にそれを前提として作られており、「特殊能力を使うと進みやすくなる」ではなく、「特殊能力を使わないとまともに進めない」バランスになっている。ゲーム開始直後の最初のステージ選択で運悪く強いボスを選んでしまうと、一体もボスを倒せないまま数時間沼る可能性がじゅうぶんにあり得る。このへんは人によって好みが分かれるところかもしれない。

 また難易度どうこう以前に、ぶっちゃけゲームの基本的な部分の作りがあまりよろしくない。デフォルトの攻撃はなんかキャンセルがかかったりかからなかったりするし、ダメージを受けた時のヒットストップもたまに硬直なしで素早く復帰できたりするし、なんか挙動が怪しいところが多い。ジャンプに至っては、移動しながらジャンプしようとするとジャンプできないことがあるという明確なバグがある。狭い足場を乗り移っていく時はいったん方向キーから手を離して、入力がニュートラルに戻ったのを確認してから跳ぶということを毎回意識しなければならない。2Dプラットフォーマーで自分の思い通りにキャラが動いてくれないというのは相当マズいところだ。

 俯瞰的に見ると良く作られているように見えるのだが、細かい部分に目を向けるとなんかいろいろな粗が気になってきてしまうゲームだ。自分の推しが出演してるとか、作者の活動を応援したいとかの外的な要素抜きにして純粋にゲームとして遊ぶとちょっとキツいかもしれない。あまりガチに取り組まず、ゆるふわなキャラクター達や作者の独特な世界観を楽しむのがいいだろう。幽霊ちゃん可愛いよ。

[動画]

[steam] まじかるまじっくワールド 杖縛り

[リンク]

steam / 作者Youtube

back