ALLTYNEX SECOND

個人的評価 ★★★
オススメ度 ★★★★

 神威3部作完結編。リフレクスと同じくこのゲームも過去に存在した「Alltynex」というSTGの実質的なリメイク作品であり、タイトルにセカンドとついているのはそのためである。同時にそのAlltynexはさらに過去に遡って制作された「RAID WIND」の続編でもあるため、本作はRAID WINDシリーズの最終作であるとも言える。さらに言えばゲームが発売された順番は神威、リフレクス、アルティネクス2の順番であるためここでは神威3部作と表記しているが、実際は初代アルティネクスが全プロジェクトの始祖でありゲーム内設定の時系列もアルティネクスが先頭に来ることから、これらは「アルティネクス3部作」と呼ぶのが正式な呼称であるとされる。よく分からんがまあそういうことだ。

 これもまたリフレクスと同じく、シリーズとは言うもののゲーム性としては前2作とはまったく共通点の無い別ゲーである。遠距離攻撃が可能でスピードが速いが火力に乏しい戦闘機モードと、高火力だが攻撃範囲が狭くスピードも遅いロボットモードを状況に合わせて切り替えながら進んで行く。この説明を聞いて「おや?」と思ったアンタ…さては歴戦のシューターだね。目が肥えてらァ。そう、このゲームは「近距離高火力の機体が低速」なのだ。

 STGでは攻撃範囲の広い機体ほど移動速度が遅く、ブレードのような攻撃範囲が狭く瞬間高火力を出せる機体は移動速度が速いという調整にするのが通例というか一般的なデザインである。それをあえて逆にしているのがこのゲームの妙だ。この仕様により、遠距離モードで敵に高速接近し目の前で近接モードに変形、瞬間火力を叩き込んで再び戦闘機モードで一撃離脱する、という一連の基本的なスタイルが出来上がる。どちらか片方だけで進むということが調整上とても難しくなっており、システムを有効活用するための導線が上手く敷かれているのだ。STGでありながらどこかアクションゲームのような操作性である。常にせわしなくボタンを押さなければならないが、それがとても戦略的でスピード感のあるプレイを生んでいる。

 しかし過去2作に比べるとそこまで抜きん出たモノは見えてこない。演出は相変わらずハイクオリティだが、新しく導入された3D技術は効果的に使えているとは言い難い。ご丁寧にも3D関連の演出を無効化する設定があるので、ガチで攻略する人は間違いなく3D演出をOFFにしてプレイしていることだろう。またこのゲームが出たのが2010年だという時代性をどうしても考えてしまう。下火になりつつあるアーケード業界とは裏腹に、この時代にあってもインディーズ・同人ゲーム界は尚も変わらず盛況で、それに伴って全体のレベルも大きく底上げされていった。数々の良作名作が次々とリリースされ、もはや良く出来ているのは当たり前、面白くて当然、といったようにちょっとやそっとの完成度ではユーザーの興味を惹くことも難しくなっていった。Alltynex Secondは間違いなく良いゲームである。しかしもう「良い」だけでは足りないのだ。

 なんとも贅沢な悩みである。かつては一握りの良ゲーを探してクソの山を必死でかき分けていたのが、今や良ゲーが多すぎて遊び切れないからあえてクソなほうを選ぶ始末だ。これは幸福なことだろうか、それとも不幸なことだろうか。STG界の明日はどっちだ。

[動画]

[steam] ALLTYNEX SECOND hard no damage clear

[リンク]

公式サイト

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