おとこのひとってこういうのが好きなんでしょ?要素詰め合わせよくばりセット。退廃的な未来世界になんか人体実験とかされてる儚げな美少女、主人公の乗る機体が量産機、糸を引きながらウネウネ飛んでいく大量のミサイル、何度も戦うことになるライバルキャラ、衛星軌道上にワープアウトしてくる巨大戦艦、爆発する基地からの脱出、などなど……。こんな使い古されたベタベタな演出が好きなのかって?好きに決まってるだろこんなモン!
一方でゲーム内容のほうはベタベタどころか他に類を見ない個性的なゲームである。本作は残機数ではなく体力制なのだが、プレイヤーの体力ゲージのほかにもう一本「母艦」の体力ゲージが存在する。敵を画面外に逃がしてしまうと後方にいる母艦が攻撃されてダメージを受けるというシステムで、自身が生き残るだけでなく味方を守ることも考えなければならない忙しいゲームだ。加えてさらに状況を難しくしてるのが時間制限の存在である。プレイヤーはブーストという特殊操作によってスクロールスピードを早めることが可能で、それを上手く使って時間内にステージの終点に到達しなければならない。しかしスクロールが早まれば敵の出現も早まり、敵の出現数が増えれば撃ち漏らしも増えて母艦がボカーンしてしまう。リスクとリターンのマネジメントが重要だ。
尖った部分はまだあるぞ。スコア稼ぎも独特かつ無視できない攻略要素のひとつだ。自機には通常ショットのほかに回数制限つきの強力なロックオンミサイルが搭載されているのだが、この残り使用回数および自機の体力ゲージの回復量はステージクリア時の「トータルスコア」によって変動する。後半になるにつれて回復に必要なスコアはどんどん上がっていくので、例えクリア目的であっても1面から頑張って稼ぎプレイをしなければならない。クリアのために稼ぎを強制されるデザインは賛否別れるところだろうな。
つまりこのゲームはブーストで急ぎながらそれによって出現する敵の増援を全て撃破しながら自分はダメージを受けないように慎重に敵弾を避けつつ大胆に立ち回ってスコアを稼ぐゲームである。えらい難しいことを要求されてるように聞こえるが実際難しいよ。しかしやりがいのある難しさだ。各種テクニックを使いこなしプレイスキルが上達してくると、ゲーム内演出も相まってとてもカッコよくて気持ちの良いプレイができるようになる。かなり特殊なゲーム性ゆえに人を選ぶだろうが、グレフやトレジャー系のSTGが好きな人に強くオススメしたい一作である。
ただしゲームのコアが古いためかWindows10以降の環境だとユーザビリティ周りでの挙動に怪しいところがあるようだ。特にグラフィック設定はヘタに変えるとゲームがクラッシュしてしまううえにその設定が自動的に保持されて、以降ゲームを起動した瞬間に強制終了するというハマり状態に陥る危険がある。初期状態の設定ファイルをバックアップしておくなどしてもしもの時に備えることを推奨しておく。[steam] CLOUDPHOBIA hard rifle 1cc