すべてはここから始まった。後に同社から発売されるシューティング制作ソフト「デザエモン」の基礎となったゲームであり、またエグゼリカなどで有名な童が初期のころにリリースした「紫炎龍」の基になったゲームでもある。……と言うとなんだか歴史的な価値のあるすごい名作のように聞こえるかもしれないが、内容としてはぶっちゃけこれといった特徴のない普通の縦シューである。
基本的なゲームデザインは紫炎龍とほぼ同じ。まあ出たのはこっちのほうが先なんだけど。3種類のショットとそれに対応した3種類のボム。ランクによる難易度上昇がキツいため、パワーアップをなるべく取らずに進行するのがセオリーだったり、ホーミングレーザーがやたら強いところなんかも紫炎龍と同じ。それどころかボスの見た目や攻撃パターンなんかも似ているところが多数あって、実のところ本作と紫炎龍の関係は続編や関連作というより原作とリメイクのようなものに近いと言えるだろう。会社が同じならそれでもいいんだが、出た会社が別だからなんかややこしいことになっていて、たまに本当にこの2つが同じゲームだと思っている人もいるほどである。
しかしながら今こうして改めて見てみると、攻略要素の面では意外と両者に大きな違いがあることに気付く。ラスボスなんかを見るとそれが顕著で、紫炎龍のラスボスはガッチガチにパターン化しないと避けきるのは困難っていう攻撃ばかりな一方で、大王のラスボスの攻撃はまったくその逆、パターンらしいパターンは存在せずとにかく頑張ってガチ避けするしかない。あとはランクシステム。ランクによる難易度上昇がプレイ内容に大きな影響を及ぼしていることは先に述べたが、紫炎龍に比べるとこちらはその振れ幅がより大きい。しかも段階的に徐々に難しくなるのではなく「一定条件を満たした時点で急に難易度が上がる」というような仕組みになっているため、プレイごとに毎回敵が強かったり弱かったりしてなかなかパターンが安定しない。またボムの所持数によって大きくランクが変わるにも関わらず、そのボムアイテムの出現数がランダムだということもプレイの安定しなさに拍車をかけている。
そう、ポイントはランダム性だ。プレイごとに毎回アドリブで対応する能力が求められる大王に対し、攻略パターンを正確に再現する能力が求められる紫炎龍、両者の最大の違いはそこにある。
そこにあるんだが…自分で言うのもなんだが視点がナードすぎないか?ラスボスの攻撃パターンの違いを楽しむために紫炎龍をクリアしなきゃいけないとか、要求されるハードルが高すぎるだろう。そんなプレイヤーが世界にどんだけいるんだ。結局のところ、多くのプレイヤーにとって本作は90年代によくある、ショットとボムのオーソドックスな東亜プランモドキでしかないだろう。つまらないゲームってわけではないが、本腰入れて遊ぶほど際立って面白いわけでも革新的なシステムがあるわけでもない。いたって普通のSTGだ。まあ、話のネタにはなるのでとりあえず触っておくのもいいんじゃないかな。
ところで超低確率で出現するレアアイテムに残機が2機増える「2UP」があるのだが、それよりもさらにレアな「3UP」が存在するというのは本当だろうか。
[PS4] 大王 DAIOH 2-loop clear 14.1 million pts