なんというか…90年代に作られたSTGに「よくある」タイプのB級ゲーだ。つまり…「パッと見た感じなんだか面白そうだし実際1コイン入れてみるとけっこう遊べて楽しいと思えるんだけどクリア目指して本格的に攻略し始めるとだんだん細かい粗が目に付くようになって最終的にこのゲームなんか微妙じゃねって評価に落ち着く」というアレである。
使うボタンはショットとオプションのフォーメーションチェンジの2ボタン。自機のショットは4種類あってゲーム開始前にその中から1つ選ぶわけだが、その後もステージクリアごとに毎回選びなおせるのが大きな特徴だ。しかしまたありがちなところで武器の性能格差が大きく、どのステージも使う武器はだいたい同じなので毎回選びなおせたところで大して意味がない。中でもホーミングは使える場面がまったく無い。ホーミングなのに敵に当たらないという時点で意味不明な武器なのに、当たったところで威力が低すぎて結局敵を倒せないという隙を生じぬ二段構えの低性能である。本当に笑えるほど弱いのでぜひ一度使ってみてほしい。
次にパワーアップについてだが、当時としては珍しくアイテムではなく経験値式を採用している。稼いだスコアによってゲージが溜まっていき、ゲージがマックスになるとショットが強化されるほか、使えるフォーメーションが増えていくというものだ。スコア稼ぎが攻略にも影響を与えるゲームとしてシルバーガンなどに先駆けた意欲的なシステムではあったのだが、やはりこれも上手く機能しているとは言い難いものだった。そもそもこのゲームには稼ぎ要素というものがほとんど無い。ただ出てくる敵を全て倒すのみである。またボスを倒した時のクリアボーナスがそこそこ大きい。結果として誰がどんなプレイをしようがだいたい同じ場所で同じレベルになってしまい、普通にパワーアップアイテムでゲーム側が機体の強さを調整するのとあまり変わらなかった。
ちなみに武器レベルが最大になるとフォーメーションの「サーチ」が使えるようになる。そう、サーチである。自動追尾である。すべての武器で自動追尾使えたらますますホーミングの存在理由がないだろ!どうやら製作者は意地でもホーミングを使わせたくないらしい。
他にも当たり判定がなんか変だとか、処理落ちがかかると何故かBGMまでスローになるとか、おかしなところはまだまだ多数あるのだが、軽く触ったところのプレイフィールは悪くないはず。システムに関しても調整がちょっとまずいだけで、発想や目指している方向性は間違ってはいないはずだ。ゲーセンで見かけたら1コイン入れて適当に遊ぶぶんにはそこそこ楽しめるゲームなのではないだろうか。
余談だが、歴史的な観点から見ればSTGの転換期を知る一例として本作の「ソフト連射」の存在に着目することができる。かつてSTGは連射速度もテクニックのうちとされていた時代があり、高速でボタンを連打できるプレイヤーほど有利にゲームを進められるような調整がなされていた。しかし連射装置の普及によりそうしたデザインは形骸化したものとなり、むしろ連射装置が無い環境にいるプレイヤーが一方的に損をするという格差を生むことになってしまった。そこで80年代の後期あたりから「もう手で連射するのはやめようぜ」という雰囲気が次第に広がっていき、ボタン押しっぱなしで勝手にショットを連射してくれるゲームが増えていったのだ。本作もまた、その変遷の一端を担ったゲームなのである。
[PS4] E.D.F. Earth Defense Force 普通に?クリア