ステージの途中で次々に自機を乗り換えながら進んでいく横シュー。全ての機体は共通として3ライフを所有し、ダメージを受けてもステージクリアやアイテムなどでの回復は一切できない。ライフを回復させる唯一の方法は機体を乗り換えることだけである。しかし当然のことながら各機体の性能は大きく異なり、強い機体弱い機体、扱いやすい機体扱いにくい機体が存在する。また機体が出現するタイミングこそ固定であるものの、どの機体が出るかは完全なランダム。現在の機体と残りライフ、そして出現した新機体の強さを天秤にかけ、乗り換えるべきかどうかを常に計算しながら戦う、その戦略性がこのゲームの肝である。
基本的な設計思想の時点ではとても良く出来ていて面白いと思えるゲームなんだが…細かい部分の調整がいろいろ甘く、せっかくの素材が台無しになってしまっている。機体をどんどん乗り換えていく、そして供給される機体はランダム、となればその設計を最大限に活用するためには何よりまず「数」が必要だ。多種多様な機体を用意すればこそランダム要素にプレイヤーが一喜一憂する楽しさが生まれるというものだ。しかし残念ながらこのゲームはそこが弱い。確かに機体数だけならSTGの中では多いと言える数が揃ってはいるのだが、どいつもこいつも似たような性能の機体ばかりで個性が無い。キャラ差はいい。強機体と弱機体の差があることはむしろ乗り換えのゲーム性に深みが増すだろう。だが「無個性」はダメだ。攻撃方法が同じでただ威力が違うだけ、みたいな機体がいくつもあるのはいただけない。
それでも機体ガチャの楽しさは確実にある。ピンチの時にティアマト(最強機体)を引き当てた時は否が応でもテンションが上がるし、機体の中には強さに関係なくついつい使ってみたくなる唯一無二の個性を持つものも何機かは存在する。それにスコア稼ぎを意識するとまた話は変わってくる。このゲームにおけるスコア稼ぎは道中で倍率を上げ、ボス戦でボムって敵の弾幕をスコアアイテムに変えるというのが主な手法だ。ボムは敵にショットを当てることでゲージが溜まっていき使用可能になる。なので稼ぎに向いている機体はショットが低火力でボムの効果範囲が広く、ついでに言えばその持続時間も長い機体である。先に挙げたティアマトはそりゃもうアホほど強い機体ではあるがそれ故に稼ぎにはまったく向いていない。
やはりもっと機体やステージにバリエーションがあったらなあと思ってしまう。悪いゲームではないからこそ、やればやるほど余計にそういうもったいない部分が気になってきてしまうのだ。とは言え、ゲーム制作において単純に物量を増やすだけという作業がどれだけ大変なことかは理解できる。プロジェクトの規模と値段を考えればじゅうぶん頑張ってると言えるゲームだろう。
[steam] GRAND BRIX SHOOTER very hard 普通にクリア