ストライクウィッチーズ以来だろうか、久しぶりのアニメ原作STGの登場である。自分は原作のほうはアニメも漫画もまったく知らないんだが、それでもこうした人気作品がSTG化するとなるとなんだか嬉しくなってしまうものだ。開発したのはMOSSから派生した新規メーカー、カミナリゲームス。そしておそらくKOFスカイステージを作ったのと同じスタッフである。よりによって何でそこなんだ!
プレイアブルとなるキャラはトール、エルマ、カンナの3人。トールは前方特化の高火力アタッカー。エルマは広範囲に攻撃できるワイド型。カンナは敵の攻撃を防ぐことができる防御・補助タイプのキャラクターとなっている。他のSTGと大きく違うのはこれら3キャラはまとめて1つのチームとして扱われ、ゲーム中にプレイヤーが任意でキャラチェンジできるという点だ。また各キャラはそれぞれ個別にHPを持っており控えにまわっている間は徐々にHPが回復していく。道中のザコ戦ではエルマ、ボス戦ではトールを使い、ダメージを受けてしまったらカンナに交代して攻撃をしのぎつつHPを回復する、というのが本作の基本的なプレイスタイルである。……ん?なんだか面白そうだな。
もうひとつのこのゲームの大きな特徴が「ぶっ飛ばし」の存在である。これは自キャラのもっとも近くにいる敵に対してオートで急接近し強力な近接攻撃を繰り出すというシステムだ。本作は全体的に敵の耐久度が高めに設定されており、このぶっ飛ばし攻撃をいかに上手く扱えるかが攻略において重要なファクターとなっている。強力とは言え敵の目の前まで切り込んでいくのだからリスクも大きい。ボスなど一撃で倒せないような相手に対しては、敵の攻撃と攻撃の合間のインターバルを狙わなければぶっ飛ばし後の硬直にこっちが手痛い反撃を受けてしまう。さながらアクションゲームのような立ち回りである。さらに発動する位置取りも重要だ。ぶっ飛ばしは着弾時に対象となる敵だけではなく、その後方にもそこそこ大きな攻撃判定が発生する。なので例えば横一列に敵が並んで出現した場合、正面からぶっ飛ばししても1体しか倒せないところ、横から突っ込めば隊列ごと一網打尽にできるというわけだ。このテクニックは本当に重要で、慣れてくるとほとんどショットを撃たず格闘だけでモリモリ敵を殲滅できるようになるし、そうできるように敵配置も考えて作られている。……あれ?なんか普通に良くできてるゲームじゃない?
そうなんだよ!このゲームちゃんと考えて作り込まれてるんだよ!ただ最大の問題点として「別にそれが面白くはない」んだよ!これはややもすると全エンタメの真理に波及する命題である。破綻なく丁寧に作られていることと、それを受け取った人が面白いと感じるかはまったく別の話なのだ。雑だからこそ面白い、破綻しているからこそ楽しめる、不完全ゆえの美というものは確実に存在する。尖った魅力のあるゲームがバランス調整やバグ修正を行った結果、以前の魅力が失われつまらんゲームになってしまった、というのは大手メーカーですらよくあることだ。本作のぶっ飛ばしシステムは確かによくできている。でも普通にショットバリバリ撃つほうが楽しくない?敵の攻撃の合間に近接差し込むとか、確かに戦略性は高いけど別にそれって面白くなくない?せっかく人気IPをSTG化できるのだからもっと間口が広く遊びやすい内容にするべきだったと言わざるを得ない。何故こんなにマニアックで挑戦的なゲームにしてしまったのかとても残念である。
まあちょっと選択肢を間違えてしまっただけだ。今回はたまたまそうなってしまっただけかもしれないし、もし次があったら自分はまた買うだろう。おじょじょじょは読んだことあるので次はおじょじょじょのSTG化、待ってます。
[steam] 小林さんちのメイドラゴン 超絶レート5 Bエンド