SUPER NANO BLASTER

個人的評価 ★★★★
オススメ度 ★★

 ふたつのフィールドを行き来する脳トレ系STG。基本的には敵を撃破しながら進んでいく強制スクロールの縦シューなのだが、特殊システムとしてプレイヤーは「フィールドチェンジ」をいつでも任意で行うことができる。全てのステージには表フィールドと裏フィールドがあり、2つのフィールドは敵の配置も障害物の位置もまったく異なる完全な別ステージ。敵弾に追い詰められてしまった時や、進行方向が障害物でふさがれていてそのままでは挟まれて死んでしまうという時、フィールドチェンジで別フィールドに逃げて上手いことやり過ごすのである。逆に裏フィールドに敵弾がある時にうっかりフィールド移動してしまうとその瞬間に即死したりする。自分が今置かれている状況だけでなく、裏フィールドがどのような状態になっているかまで気を配りながらプレイしなければならないというわけだ。フィールドがふたつで考えることも2倍、でも脳はひとつなのでプレイヤーは大忙しである。

 他に類を見ないとても斬新な発想のゲームだ…と思うかもしれないが実はそうでもなかったりする。この「プレイフィールドを切り替えながら進行する」というアイデアは、数こそ少ないながらもアクションやシューティングでは古来より存在するゲーム性のひとつである。マイルの「カオスフィールド」はまだ記憶に新しい人も多いだろうし、ドマイナーどころではバーチャルボーイの「バーティカルフォース」などが挙げられる。steamの「Dimension Drive」なんか完っ全にネタがかぶってるし。

 だが「それだけ」で終わらないのがこのゲームのすごいところだ。フィールドチェンジを用いたパズル的なゲーム性は全体のうちのほんの一側面でしかなく、本作にはまだ「その先」がある。

 それがもうひとつの特殊システムである、いわゆるハイパーシステムの存在だ。ゲージが溜まっている状態で発動すると一定時間自機が強化されるという、まあこれも今となってはSTGによくあるシステムなのだが、このゲージを素早くチャージする方法として「敵弾に密着した状態でフィールドチェンジを行う」というものがあるのだ。これがどういうことかお分かりいただけるだろうか。それまでフィールドチェンジによって敵の攻撃をやり過ごす「守りのゲーム」だったのが、このテクニックに気付いた瞬間、敵の弾幕に突っ込んで行ってハイパーを連続発動しまくる「攻めのゲーム」に一気に反転するのである。もちろんその際にも2つのフィールドを考慮しないといけないのは同じだ。ゲージ回収に夢中になるあまりフィールドチェンジして敵にぶつかって死ぬのは上級者ならではの死に方だろう。フィールドチェンジという1つのシステムで、パズル的な守りのゲームとSTG的な攻めのゲーム、2つのゲーム性を両立する見事なデザインである。

 ただ同時にそれが一番の問題でもあって……。マニアックすぎるんだよこのゲーム!やり込んでもやり込んでも底の見えない奥深いゲームではあるんだが、その深さを見たいと思えるプレイヤーがどれだけ居るんだっていう話。パズル要素のあるSTGってだけでだいぶ人を選ぶのに、そこからさらに弾幕STGのようなゲーム性まで要求されるとかあまりにハードルが高すぎる。おそらく大多数のプレイヤーは普通にパズルシューとしてプレイし、守りのゲームとしてプレイを終えて以後ライブラリの底にしまいこみ二度と起動しないことだろう。良いゲームなんだけどなあ。まあしょうがねえよなあ。

[動画]

[steam] SUPER NANO BLASTER infinite mode 2loop clear (black hole)

[リンク]

steam

back