REMOTE LIFE

個人的評価 ★★
オススメ度 ★★

 いやーどうしたもんかなこれは。特徴が無さすぎて言葉に困るゲームというのはたくさんあるが、逆に特徴的すぎてそれをどう言い表せばいいか分からないというのは珍しい例だ。このゲームの特異性はスクリーンショットを見ただけでもだいたい伝わるだろう。ダークでゴアでグロテスク。「美しいグラフィック」と表現していいものか一瞬戸惑う悪夢のようなビジュアルは、新たな刺激を求めるシューターの目を引き付けるには十分すぎるインパクトだ。おそらくこのゲームの宣伝を見た多くの者がR-TYPEのようなド硬派なSFシューティングを想像したことだろう。「こりゃあヤバイSTGに違いねえぜ!」と。

 ……確かに硬派と言えば硬派だしヤバイSTGであることには違いない。だがフタを開けてみればこのゲーム、既存のオーソドックスなSTGの文法からはまったく外れた異次元の方向にぶっとんだ、「奇ゲー」と呼ばれる類のモノであった。ゲームスタートしてまずびっくりするのが全方向に自由にショットが撃てるフリーエイム式の操作系であること。つまりジャンルとしては「ツインスティックSTG」だ。ストアの紹介文やプロモーション動画にはそんな気配はまったくないので、いきなりの予想外な展開に戸惑うこと間違いなし。

 だがそんなことは序の口だ。次に襲いかかるは尋常じゃなく見づらい敵弾である。見づらいっていうか見えない。配色がどうとかいう問題じゃなく、目をかっ広げてモニターを凝視しないと見えないくらい敵弾がとんでもなく小さいのだ。あまりに小さいので私は最初何で死んだか理解できず、数機死んだところでようやく敵弾が飛んできてることに気付いたほどだ。

 敵弾の地味さと同じくして自機のショットもまた悲しいほどショボい。プロモーション動画を見ると何やら派手なショットを撃ちまくっているように見えるがこれは半ば詐欺である。自機の武器は2種類の通常ショットの他に道中に出現するアイテムを取得することで使えるようになる強力な特殊ショットがあるのだが、困ったことにこれらの武器には弾数制限がありしかもその弾数というのがやたら少ない。無駄撃ちをしていると…いや無駄撃ちをしなくてもあっという間に弾が無くなる。なのでストアページの動画にあるようなド派手なショットは実際のところほぼ使う機会はなく、プレイ時間の大部分は豆鉄砲みたいなノーマルショットでペチペチと地道に敵をひっぱたくに始終することになる。ちなみにスコアとかエクステンドとかは無いし、となると当然得点アイテムとか稼ぎシステムといったものも存在しない。STG的な楽しさは皆無だ。

 しかしプレイを続けてみるとなるほど、これが意外と納得できるデザインになってはいる。本作は今時のSTGにしては珍しく地形やギミックで殺しに来るタイプのSTGである。ステージの多くはただでさえ狭く入り組んだ地形をしており、そこにさらに可動式のギミックがわんさか配置されている。プレイヤーはそれらに接触しないよう、そろりそろりと慎重に歩を進めなければならないわけだが、その地形避けのゲーム性とフリーエイム式のショットはとても相性が良い。ショットの届かないところから敵に攻められる理不尽さから解放され、どんな複雑な地形であってもストレスフリーに戦える。ショットの弱さに対してシステム的なフォローがしてあるため一応の整合性は取れているわけだ。

 またこれも奇ゲー要素のひとつなのだが本作にはなんと「探索ステージ」がある。強制スクロールの横シューから一転、上下左右任意スクロールで広大なマップをあっちこっち行き来するステージがクリアまでに何回か唐突に挿入される。そしてここでもフリーエイム式が大活躍だ。どの方向にでもショットが撃てるというこのシステムは任意スクロールとも相性が良い。となるとやはりこれらの要素はその場の思い付きやインパクト重視で適当にぶっこんだわけではなく、包括的なものとしてちゃんと擦り合わせを考えて作られているということだろう。

 そうして苛烈な戦いをくぐり抜けてたどり着く本作のエンディングは「Remote Life IIに続く!」とバァーンと表示されてその幕を閉じる。最後の最後まであらゆる予想を裏切ってくるすげぇゲームだぜ。いやーホントどうしたもんかなこれは。ゲームとしては穴だらけ問題だらけの問題作だ。もう一度プレイしたいかと聞かれれば間違いなく「NO」である。だが続編をプレイしたいかと聞かれたら間違いなく「YES」だ。そうさせているのはこのゲームに芯が通っているからだと思う。こういうゲームを作りたい、という作者の明確な方針があり、他の全てがどんなにボロボロであってもその部分だけはブレることなく、最後まで一本の芯を貫き通している。実際はどうだかわからんが少なくとも私はそう感じた。だから続編が見たい。作者がこのゲームをどう変化させるか、どう良くなるかどう悪くなるか、または良し悪しすら超越した予想もできない異次元の方向に再びぶっ飛んでいくかもしれない。遊ぶゲームが山ほどある今の時代、そういうゲームがあってもいいだろう。

[動画]

[steam] REMOTE LIFE playthrough 1/2
[steam] REMOTE LIFE playthrough 2/2

[リンク]

steam

back