正直言ってゲーム的には取り立てて面白いというわけでもない、むしろ今の視点から見たら理不尽極まりない要素てんこ盛りのひでえゲームである。スターフォースの大ヒット以降、縦シューにおける人気作の方程式はバリバリ撃ってサクサク避ける、ハイテンポかつ爽快なゲーム性にあった。だがその真逆を行ってしまったのがこのトライゴンだ。貧弱なショットと足の遅い自機、さらに巨大な当たり判定により、プレイヤーは常に後手後手の戦いを強いられることになる。ヌルーっと低速で近づいてくるザコ戦闘機にビクビク怯え、撃たないでくれと心の中で祈りながらザコ戦車を1匹1匹潰していく…そんなゲームである。
しかしなんだか憎めない、ダメな部分も含めて妙な味わい深さをもっているゲームでもある。もしシューティングについて誰かと語らいたいと考えていて、その題材となるゲームにこのトライゴンを選ぶならば会話は大いに盛り上がることだろう。とにかくツッコミどころが多くネタに事欠かないのだ。以下にその例を挙げよう。
・判定がデカい
昔のSTGは自機の当たり判定が大きいものが多いが、その中でも本作の判定はトップクラスにデカい。ほんの少しでも自機に敵弾が触れようものなら即座に自機が爆散するのですごくびっくりする。心臓に悪い。中でも際立ってるのが「炎弾」だ。先ほど「敵弾が触れようものなら」などと書いたが炎弾にいたっては触れてすらいないのに死ぬ。
・自機の名前がダサい
このゲームで特に有名なのが自機の名前だ。その名も「スーパー戦闘機」。あまりのダサさに本作をプレイしたことがない人にすら知られているほど有名で、STGの自機を語る場ではしばしば名前が挙がる。個人的にはタツジンの「スーパーファイター号」と双璧だと思うのだが、トライゴンに比べて後者のほうはあまり話題にならないな。何故だろう。
・タイトルがトライゴン
そもそも「トライゴン」とは何なのか。自機の名前ではない。ではラスボスの名前か?それも違う。トライゴンとは、作中に登場する「自機の横にくっついている小さいボールのようなオプション」の名称である。あれば役には立つがそんなに強くはない。そもそも出現数がとても少なく、どんなに早くても手に入るのは3面からだ。2面の難易度が高いため一度も目にすることなくゲームオーバーになるプレイヤーも多いことだろう。なんでそんなものをタイトルにしたんだ!
・演出がカッコイイ
そんなゲーム内容に関わらずそこはさすがコナミ、BGMは間違いなく一流だし、ボムである「ドラゴンレーザー」や「ライトニングソード」は一度見たら目に焼き付くほどの強烈なインパクトを持っている。プレイした人は10割がた、謎のボール型オプションよりもボムのほうが印象に残るのではないだろうか。もうゲームタイトルは「ライトニングソード」でいいんじゃないかな。
……等々。面白いとかつまらないは別として各方面でよくネタにされるので、STGとしての存在感は大きい。蘊蓄を語りたがるタイプのゲームオタクならばぜひ押さえておきたい一作だ。理不尽なところもあるがボムさえあれば多少雑なプレイでもどうにかなる程度の難易度だと思う。
[PS4] トライゴン TRIGON 2周ALL
トライゴン 臨死