対戦型STGの代表格として知られるティンクルスタースプライツ(以下TSS)の続編。タイトルが長くて読みにくいし分かりにくいので私はだいたい「TSS2」と読んでいる。しかしまあやはりというか何というか、前作に比べてこっちはいまいちパッとせず、とても存在感のうすい作品になってしまった。実のところゲーム内容は前作とほとんど変わらない。一部のキャラクターは前作からそのまま続投しているし、システムはおろか出てくる敵編隊の構成なんかもだいたい同じなので前作で培ったテクニックがそのまま通用する。熟練者なら初見でラスボス撃破も容易いだろう。
目立った変更点として一応挙げられるのはゲージアイテムの追加と連爆の仕様の変更だろうか。ゲージアイテムはその名の通り溜め撃ちゲージを増加させるアイテムで、通常のボムや泡消しと同じようにランダムで出現する。連爆の仕様については相手に飛んでいった「ザコ弾」を連爆に巻き込んでも跳ね返るのみで、ザコ弾自体は爆発しない、つまり連爆のパーツとして使えなくなった。と、説明してもおそらく何のことやら分からない人も多いはず。つまりそれぐらい些細な変更だということだ。極まった上級者でもなければ気にする必要はない。
……なら前作でいいじゃん!となるのは無理からぬことである。そもそもTSSは大して人気のあるゲームではなかったし、何なら今でもそうだ。知名度がやたら高いので勘違いしそうになるが、それは一部のコアなファンが地道に布教し、大会を開き、火を絶やさぬように長期に渡って下支えしてきた結果である。実際にゲームをプレイしていた競技人口という点で見るならば、本来は知る人ぞ知る隠れた良作といった立ち位置のゲームだったはずだ。そんな「一部のコアなファン」の支持を受けられなかったことが本作と前作の最大の違いだったというわけだ。ネット対戦があるとはいえ、当時まともにインターネット環境がある家は少なかったしな。対戦したかったらみんなゲーセン行って前作やるよなそりゃ。
しかし対戦を前提としないのであればそれほど悪いゲームではないと思う。さすがにPS2ともなればその処理能力はかつてのMVSより上だ。グラフィックは奇麗だしキャラクターもフルボイスでめちゃくちゃ喋る。ついでに前作の戦いの後で各キャラクター達がどうなったのか、それぞれの関係者が出てきて近況を語ったり、プレイアブルでないキャラもけっこうな数が再登場するのはファンとしては嬉しいところだ。絵柄が大きく変わったことについては賛否両論だろうが私はこっちのほうが好きだな。主に男キャラがみんなカッコよくなってるところが良い。ひとつの対戦ゲーとしてではなく、あくまで「TSSの続編」という部分に価値を見出せるかどうかが評価の分かれ目といったところだろうか。
[PS2] ティンクルスタースプライツ La Petite Princesse Lv5(MAX) ノーミスクリア