ひょんなことから知り合ったロシアのレトロゲーマーがいるのだが、このたび彼とガッツリメッセージをやり取りする機会があったのでいろいろと話を聞かせてもらった。その一部をここに抜粋する。ただし翻訳サイトを使っての会話なので、よく意味が分からなかったり内容が正確に伝わっていない可能性がある。っていうか名前の時点でロシア語でどう発音すればいいのか分からん。彼の名前を翻訳サイトにかけると「呪文詠唱者」とか「スペルキャスター」みたいな言葉が出てくるので、ここでは便宜上「キャスター」と呼ばせていただくことにする。また当然ながら私も彼もその道のプロフェッショナルってわけではなく、ここに書かれていることはあくまで個人の主観であることを了解してもらいたい。
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キャスター:
話は1990年初期のロシアにさかのぼります。そのころ私たちは日本の海賊版ゲームをプレイしていました。残念ながら私たちはゲーム内の文章を全く理解できませんでしたが、それでも子供たちは夢中になって遊んでいました。ロシアの有名なYoutuberがその様子を語っている動画があります。
https://youtu.be/rJQr3tnjHlg
「ロシア版のAVGN」とも言える人物。実際上記の動画はAVGNのロシアコミュニティから派生したものであり、内容も本家をだいぶ意識して作られている(ほかの動画はそうでもない)。
キャスター:
彼は1990年にテレビゲームを手に入れた子供たちがいかなる状況にあったかを語っています。文明国では知り得なかった子供たちの問題です。正常な信号を出力できなかった低品質のゲーム機。ゲームパッドは品質が悪く、すぐに壊れてしまいました。ゲームタイトルは宝くじのようなもので、カートリッジを買うときにはどんなゲームが入っているかわからないのです。また、有名なゲームの続編を作って、キャラクターのスプライトを変えたものもありました。
神崎:
動画を見ました。あまり多くは理解できませんでしたが、日本とロシアで映像出力の規格自体が違うというのは面白いですね。
キャスター:
異なるビデオ信号では、多くの興味深いことがあります。ヨーロッパの映像出力はPALで、50Hzで動作します。一方、NTSCは60Hzで動作します。そして偶然にも、開発者が日本のゲームをヨーロッパの基準に合わせることはほとんどありませんでした。ゲームの動作が遅くなったのか、映像に問題があったのか、あるいは音楽の再生が遅くなったのか。面白いことに、日本のゲーム機でこのようなゲームをプレイすると、動作が速すぎるのです。しかし、例えば任天堂は、一部を適応しては50Hzに対応しています。NTSCと全く同じように動作しました。現在ロシアのコミュニティではちょっとした論争が起きていて、懐古主義の人はPALで遊ぶことこそが正しいと主張しています。地域による違いは、周波数の違いだけではありません。ビデオゲームにはまだ検閲があります。プレイステーション3の時代、日本版のゲーム機には地域別の検閲がありました。ヨーロッパのゲームディスクを入れても、血が出ないんですよ。面白いことに日本では洋ゲーの検閲が厳しく、洋ゲーでは日本のゲームが同じように厳しく検閲されていました。
神崎:
日本では暴力表現の規制が厳しい一方でエロに関してはずいぶんと緩いですね。逆に海外は暴力表現は見過ごされるのにエロに対してやたら厳しいように見えます。
キャスター:
別の違いもありました。例えば「悪魔城伝説」は多くの違いがあります。アメリカ版では2周目に新しい敵が登場します。同時に日本版は音楽チップが追加されているためより良い音楽を聴くことができます。ロシアのレトロゲーマーの間では、同じゲームの異なる地域のバージョンを攻略するという習慣があります。私たちは一つの地域に限定してプレイすることはありません。
神崎:
異なるバージョンを遊んでその違いを比べて楽しむんですね。日本ではあまり見ない遊び方ですね。(その後レトロゲームについて調べて)「ゲームクラブ」のことを知りました。家庭用のゲームをちょっとだけ遊べるサービスは日本にもありましたね。デパートやゲームショップなどに機械が設置されていました。法律的な問題ですぐに無くなってしまいましたが。
正式名称不明。ロシアではゲームクラブと呼ばれる施設。少額のお金を払うことで短時間の間ゲームをプレイできる、いわば家庭用のゲームセンターのようなもの。ゲーム機が高額で買えない子供たちが多く集い、ロシアのテレビゲーム普及に大きく貢献した。
キャスター:
そうそう、ゲームクラブのことを忘れていました。このようにして多くの子どもたちが「プレイステーション1」に出会ったのです。個人的には、エミュレータの時代になるまで、話だけは聞いていましたが、プレステのゲームは見たことがありませんでした。21世紀初頭には(ゲーム機ではなく)パソコンのクラブが流行していました。そこで私はGTA Vice CityやHalf Lifeを初めてプレイしました。ご理解いただきたいのは、それまでデンディ(ロシア版のファミコン)とメガドライブを超えるものを見たことがなかったということです。そこに一気に技術的なゲームが出てきました。私にとってはカルチャーショックでした。GTAは想像を絶するものでした。何をしても許される街。当時の私にはそう思えました。昔のGTAの復刻版は残念ながら非常に悪い。ライセンス切れでカットされた曲もよくあります。その影響で、GTA4ではロシアの曲が多く削られてしまいました。
神崎:
GTAVCは確かPS2あたりの時代だったでしょうか。私も初代プレステやサターンが出た時は衝撃的でしたが、メガドラから一気にPS2とはどれほどの衝撃だったか想像もできませんね。
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キャスター:
ロシアのゲームやアニメは、日本でもよく知られているものがあると聞いたことがあります。テレビゲームの「STALKER」です。インタビューや放送を見ました。特に、このMODを日本語化したのはすごいですね。
神崎:
STALKERは日本でもとても有名ですね。特にネット上ではちょっとしたミームと化して、我々がロシアに対して持つイメージに影響を与えたと思います。
キャスター:
ロシアのテレビゲーム産業の規模は、それほど大きくはありません。経済が正常だった頃はたくさんのスタジオがさまざまなゲームを作っていました。ゴミもあったし、よく出来たものもあった。作り手はみんな新しいことにチャレンジしたいと思っていました。例えば、「スペースレンジャー」シリーズ。作者はそこに様々なジャンルを詰め込もうとしました。このゲームは名作として海外でも知られています。また同じことが「Pathologic」にも言えます。
「Pathologic」。2005年にロシアのスタジオIce-PickLodgeによって開発されたロールプレイング・サバイバルゲーム。孤立した小さな町を舞台に、プレイヤーはその町に蔓延る謎の疫病の正体を探り、また自身もその疫病から生き延びなければならない。プレイヤーの行動によってはNPCが死亡するなど、ゲームのシナリオはマルチに展開される。
キャスター:
このゲームのジャンルも表現が難しい。RPGにもサバイバルホラーにも見えますし、ストーリーもあります。そのジャンルを正確に表現できた人はいない。そんなゲームがたくさんありました。しかしその後経済が破綻し、今ではスタジオも数えるほどしか残っていません。一方でインディーズの方はずっと良い状況ですね。たくさんのインディーズゲームがリリースされています。例えば、「スーパーサイボーグ」は2人のロシア人が作りました。このゲームには2つのバージョンがあります。Steamで発売されているものは、オリジナルとの違いがたくさんあります。
神崎:
スーパーサイボーグ!めちゃくちゃ好きなゲームです。ハードモードもクリアしましたし、オンラインで協力プレイもやりました。開発者がロシア人だったとは知りませんでした。
キャスター:
私もスーパーサイボーグが大好きです。ファミコンで発売された「コントラ」の最初の2作品のスタイルで作られており、後のシリーズのゲーム性も備えています。言ったように、このゲームには2つのバージョンがあります。Steamで出たものは新しいエンジンに移植されていて少し悪くなっています。そのため画面内の敵の数が少ないのが特徴です。また、一部の武器のビジュアルも一新されています。ホールドボタンも追加されました。しかし、古いバージョンはTorrentでしか入手できません。日本ではこれが非常に厳しいと聞きました。
神崎:
日本では過去にコンピューターウィルスなどが大きな問題となったことがあって、ファイル共有ソフトは禁止とまではいきませんが使用を厳しく制限されるようになりました。
キャスター:
ロシアではTorrentで状況が変わる。今やSteamの割引(ロシアでは世界の他の国よりもはるかに安い価格設定)やNetflixなどのサービスがある時代、一般の人々の間でTorrentの必要性は失われています。しかしまだ激しい議論が続いています。悪いことだと思っている人もいれば、それが正しいと考える人もいます。ロシアには中流階級の市民はいません。ロシアでは、貧乏人か裕福な人のどちらかです。WebやITに関連するコンテンツや職業は事実上、普通の人が生きていくための唯一の手段です。まあそれはそうと、ロシア発のもう一つのコントラとして現在「アイアンミート」が開発されています。
https://store.steampowered.com/app/1157740/Iron_Meat/
キャスター:
また、私たちは「ZX Spectrum」のようなレトロなコンピュータが大好きです。日本では知られていないのでは?しかし、彼らはまだそれで素晴らしいゲームを作っています。「キャッスルヴァニア: Spectral Interlude」のように。もしくは「Power Blade 3」などもあります。
「ゼットエックススペクトラム」。1982年にイギリスで発売されたホームコンピューター。海外ではコモドール64に並ぶほどの人気ぶりであったが、日本では発売されなかった。
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キャスター:
私が最初に遊んだSTGはグラディウス、スターフォース、そしてもちろん烈火。しかしこのジャンルにハマったのは比較的最近のことで、10年ほど前のことです。私はサンダーフォース4に惚れました。最大難易度ではめちゃくちゃ難しいですが。私は古いゲーム機を持っていて、今でもそれで遊んでいます。AVファミコン、メガドライブ、スーパーファミコン、セガサターン、プレイステーション1など。プレイにはソニーのPVMモニターを使用しています。レトロゲーム機全般に言えることですが、これはベストなソリューションだと思います。CRTと現代のLCDの良さを兼ね備えています。応答性が高く、とてもきれいな画像が得られます。PCエンジンも買おうと思っていたのですが、機種が多く、また、ROMやCDイメージを動かすためのアダプターに問題があります。アーケードマシンやレトロなコンピュータゲームは遊ぶことはできません。
ソニーPVMシリーズ。「プロフェッショナルモニタ」とも呼ばれ、その名に違わず非常に高品質高性能。最新モデルかつ新品だと余裕で100万円を超える。
キャスター:
インディーゲームについて。問題は、インディーズゲームの数が多すぎることです。年間に発売されるゲームは約8000本。これは、20世紀のすべてのゲームを合わせた数よりも多い。明らかなゴミを除外したとしても全部には追いつけません。その結果、古いゲームをプレイすることになりました。古いゲームの中にも名作はたくさんあります。全く知られていない、影の薄い名作も多い。それを現代のゲーマーが無視しているのは、とても悲しいことです。私と同年代のゲーマーの間では、これはよくある問題です。人々は全く新しいゲームか、全く古いゲームばかりをプレイするようになりました。それは他のエンターテイメントやアートの分野でも同じことが言えます。多くの人が古典文学をすべて読んでみたいと思っています。しかしそれが多すぎるのです。ましてや現代のものは。
神崎:
ゲームが多すぎることは私も感じています。たまに良作がリリースされても話題になるのは一時のみで、人々はすぐにその存在を忘れて次のゲームに移ってしまいます。場合によっては話題にすらならないまま埋もれてしまいます。
キャスター:
時々、あなたのビデオを見ています。新しい発見がたくさんあります。特に同人ゲームには疎いです。日本の開発者は自分たちの狭い範囲の人たちのためにしか作品を発表しません。そして外部の人にはほとんど知られていない。そんな中「LEIRIA -STARGAZER-」とNonlinear studioを知りました。聞いたことがないタイトルと開発者です。また、最近1oogamesという開発者と彼の「Lovely Composer」の存在を知りました。このプログラムは私が子供のように喜ぶほど素敵なものです。しかし私は曲の書き方を全く知りません。
神崎:
昔デザエモンというSTGエディターがありました。Lovely Composerはその中にあった作曲機能によく似ていますね。オンラインゲームについてはどうですか?日本ではかつてウルティマオンラインやラグナロクオンラインが流行っていましたが。
キャスター:
オンラインでゲームをすることはほとんどありません。私の自由時間がなくなってしまいます。でもサンドボックス系は大好きです。MinecraftやTerrariaなど。何年かに一度は、それらに戻ってみたいと思っています。友人と一緒にサーバーを作り、一緒にプレイしています。昔の世界に戻って懐かしく思い出すのはとても面白いです。しかし残念ながらそのようなゲームはすぐに飽きてしまいますね。私のSTGのプレイ技術は最高ではありません。私がクリアできた中で一番難しかったのは、Hardest難易度の「クライング 亜生命戦争」です。あとは「グレイランサー」のマニアモードでしょうか。クライングは素晴らしいゲームです。そこに意地悪なところはなく、とてもフェアにプレイできます。その難易度は自分のゲームの腕前にすべて左右されます。一方、グレイランサーはとても意地悪なゲームです。ステージの多くは暗記しなければならない。ただしこれは「マニア」の難易度にのみ適用されます。難易度「Hard」は気持ちよくプレイできます。
「クライング 亜生命戦争(海外タイトル:Bio Hazard Battle)」
キャスター:
最近は意識してアニメを見るようになりました。2013年のことです。それまで私は軍隊にいて、故郷に帰ってきたところでした。外が寒くなってきたので家で「エルゴプラクシー」を見ることにしました。
神崎:
チョイスが渋い……。
キャスター:
そこで全く新しい世界を発見しました。日本のアニメがこんなに面白いとは思いませんでした。最初はただの退屈しのぎのつもりでしたが、次第にその面白さが理解できるようになりました。日本のアニメーションにはとても驚かされました。今では毎年秋になるとこのアニメを見返しています。また雪が降ったら、見てみたいと思います。
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キャスター:
アニメのおかげで、日本の文化はロシアの文化の一部になりました。私たちにはとても人気があります。年老いた母ですらよく知っています。2000年の年明けには連邦政府のチャンネルでポケモンが放送されました。その時は路上から子供たちの姿が消えたほどでした(笑)。アニメの中にはロシア語によく翻訳されているものがあります。ロシアで最も有名なアニメは「天元突破グレンラガン」でしょう。公式の吹き替え版のおかげで大きな人気を得ました。普通みんな吹き替えには反対しますよね。しかしグレンラガンは例外でした。
このシーンのセリフはアニメを見ていない人にまで広く知られています。日本ではどのような作品が人気なのでしょうか?文化として定着している海外作品は多いですか?
神崎:
日本ではやはりハリウッド映画やディズニーアニメなどが人気ですね。アナと雪の女王は日本でも大ヒットして主題歌がそこらじゅうで流れていました。しかし文化と言えるほど広く知られている海外作品はそう多くありません。ロシアの映画では昔「キン・ザ・ザ」を見たことがあります。とても奇妙な映画でした。近年ではアメリカとの合作だったと思いますが「ハードコア・ヘンリー」がとても面白かったですね。
キャスター:
ロシアの映画産業はとても複雑です。ロシアにある現代の文化はすべてソビエト時代の遺物です。優れた映画やアニメの多くはソ連で作られました。いや、今もちゃんとした作品が出ていますよ。しかし多くのロシア人は習慣的に、今は何も良いものは撮れないし撮るべきではないと考えています。だから質の高い作品があっても、バカな人たちがゴミにしてしまう。私はSFがとても好きです。しかしロシアではSFを作る習慣がありません。サイエンス・フィクションは多くの人から不真面目なジャンルだと思われています。だからこそ、多くの映画は変なものか、素朴なものが多い。私たちは主に「社会派ドラマ」というジャンルの映画を作っています。一般的には、昔から社会性を重視しています。お勧めのものがありますが、日本語に翻訳されているかどうかはわかりません。ロシアのコメディーの名作をご紹介します。
https://en.wikipedia.org/wiki/Operation_Y_and_Shurik%27s_Other_Adventures
https://en.wikipedia.org/wiki/Kidnapping,_Caucasian_Style
https://en.wikipedia.org/wiki/Ivan_Vasilievich:_Back_to_the_Future
キャスター:
(ロシア産の)アニメの中では「Dunno on the Moon」がとても好きです。驚いたことにこの作品は1997年に作られたもので、当時は国が非常に混乱していた時期でした。このアニメが外国語に翻訳されているかどうかはわかりません。原作はソ連の本です。物語によると、地球には小さな人間が住んでいて、彼らは月に行くことを決めた。月のコアにも小さな人たちが住んでいた。この本は資本主義を馬鹿にしていた。しかし今日における現実では、それはむしろ現代のロシアをあざ笑うものである。人々が理想的な社会主義から、完全に腐った資本主義の世界に行く姿を描いています。私はとても気に入りました。以前はもちろん理解していませんでした。クールなキャラクターが面白い世界に住んでいて、ロケットを作って広大な宇宙を征服するという、クールなアニメだったのです。最近になって見てみると、実は風刺が効いていることに気づきました。
神崎:
Youtubeで見ました。やはり言葉は理解できませんでしたが、あなたの説明と合わせてだいたいの概要は掴めました。良いアニメだと思います。見た目は子供向けでファンシーな感じですが、描かれている世界はとてもハードなSFですね。ただの脇役と思ったキャラが終盤で活躍する展開はアツいです。そうそう、私はアニメはあまり見ませんがマンガはよく読みます。しかしアニメに比べると日本のマンガは海外ではそれほど広まってませんね。
キャスター:
ロシアでは公式に出版されるコミックはほとんどありません。またほとんどの場合、創刊号のみが出版されます。ドラゴンボールはマンガではまだ数巻しか出版されていません。
神崎:
やはり翻訳が難しいためでしょうか。英語圏などは日本と違ってマンガを左から右に読むそうです。そういったことを考慮しながら翻訳作業をするのはハードルが高そうです。
キャスター:
ロシアで公式に発行されているマンガも、日本と同じように右から左へと読んでいきます。しかし、かつては左から右に読む版もいくつかありました。日本準拠のものとその逆のものが両方あるのは混乱の元でした。今ではマンガの読み方は統一されています。以下はその例です。
神崎:
おお、これはワンパンマンですね。作中のセリフだけでなく途中のおまけページまですべて翻訳されてるのはすごい。
キャスター:
そう、ロシアでは「ONE PUNCH MAN」が大人気なのです。文化財といってもいいでしょう。しかし次第にギャグが減っていきサイタマも主役ではなくなって魅力がなくなってしまいましたね。
神崎:
分かります。私も途中から読まなくなりました。ちなみにこれが実はアンパンマンという子供向け作品のパロディであることは海外ではあまり知られていないと思います。
キャスター:
アンパンマンは初めて聞きました。ロシアのインターネットではほとんど情報がありませんね。
神崎:
まあ子供というか小児が見るものですからね。(さすがのアンパンマンも海外では知られていない様子)
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キャスター:
ロシアには日本人についてのジョークがあります。「あなたがうまくやるということは、あなたよりもうまくやる日本人がいるということです」ロシアでは、日本人は知的で勤勉だと思われています。そして彼らはしばしば模範とされます。人々は1日に14時間も働く。しかも1年に1週間しか休みをとらない。ロシア人にとっては考えられないことです。
神崎:
(さすがに年休一週間ってことはないが…)働きすぎだというのは確かにそうでしょうね。日本人はなんというか…「機械的」なんですよ。一方で日本人もロシア人のことを悪く思っている人は少ないと思います。多くの日本人はロシア人のことを強い肉体と強い精神を持った人物であると見ているはずです。
キャスター:
ロシアのメンタリティでは弱さは許されません。仕事をしっかりやっていても単純労働者であれば価値を低く見られます。通常の意味でのキャリアラダーはありません。ヨーロッパの国々では一生懸命働いていれば昇進しますがロシアでは違います。一生懸命、真面目に働くということは2倍の努力をするということです。努力するあなたを上司は褒めてくれますが、あなたはすぐにそのことに何の意味もないことに気づくでしょう。ロシアでは競争相手がほとんどいないことを考えるとそれも仕方がない。ヨーロッパでは多くの企業がビジネスを競い合っていますがロシアではそのような企業はありません。では、どのようにしてキャリアの階段を上っていけばいいのでしょうか?トリックを狙っていかなければなりません。良いポストは正しい人が占有するのではなくドジで狡猾な人が占有する。だからロシアでは弱音を吐けないのです。誰も頭を下げたり謝ったりしません。しかし今はITの進歩によりそれも少し変わってきました。プライベートカンパニーは徐々に増えてきています。ヨーロッパ諸国のレベルに達しているとは言えませんが、国営企業で働くよりははるかに良いと思います。
神崎:
それはどこの国でも同じようなことはあると思います。利益を追求するためには時に人間性を犠牲にしなければなりません。
キャスター:
ロシアには外国人が驚くような独自のプラス面もあります。国産品の価格は、世界の他の国々と比べてもまだ非常に安い。インターネットも格安で使えます。ルーブルから円に換算すると、多くの人が1ヶ月の食費に8000円以上は使いません。私自身も月々3200円で生活していたことがあります。もっともそれはよほど困っていて節約しなければならない時の話ですけど。以前ロシアに移住した日本人のブログを読んだことがあります。彼はロシア人の女性と結婚しました。うちの子たちは美人で性格もいいんですよ。アメリカやヨーロッパのようなフェミニズムがなくても彼女たちは社会で活躍し、家事をこなし、夫を殴ります(笑)
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神崎:
アニメや映画に登場する日本は東京や大阪が舞台になることが多いので海外の人はそのイメージが大きいかもしれませんが、私の住んでいるところは都会からは遠く離れた田舎です。高層ビルは無く畑があります。
キャスター:
私も都会に住んでいるわけではありません。私の村から一番近い町までは360kmあります。
神崎:
360km!?おそろしく広大な土地ですね。
キャスター:
村には自分の家があります。祖母から受け継いだものです。しかし多くの修理が必要です。窓の外には松林が広がっています。この景色を美しいと言えるのかどうか。いつもの半廃墟のような草原だ。原理的にはロシアの他の地域と同じです。確実に言えることは、建築物はどこも同じであるということです。こう言えばいいでしょうか、現代ロシアの文化全体は旧ソ連の文化や建築物だと。そこには何の発展性もありません。1つのロシアの都市を見たことがあれば、それはすべてのロシアの都市を見たことになります。ソ連は緊縮財政だったので、どの家も同じように見えます。フラット(平屋)は快適さや外観を気にせず、できるだけ多くの人を収容するために同じパターンで建てられました。だからこそ現代のロシアはすべてが憂鬱で悲しげに見えるのです。「ドゥーマー」をご存知でしょうか?このジャンルはロシアで流行したものです。ソ連の人々が作った、政府と戦った音楽の多くはその気分をよく反映しています。例えばこのような。
神崎:
地理的に近いにも関わらず、我々はロシアの生活がどのようなものか知りません。私のイメージとしては「極寒!雪!ウォッカ!」みたいな感じです。
キャスター:
多くの外国人はここが寒くて熊がいると思っています。私たちはそのことについてよく冗談を言います。しかし、それは真実ではありません。夏に33度という記録的な気温になったこともあります。冬は最低で-40度となります。ロシアでは夏はとても暑く、冬はとても寒くなります。熊はいません。ロシアでの生活はほとんどの場合、安全です。地形は完全な野生ではない。農家の人が持っている畑はたくさんあります。草を刈るだけの畑がある。もちろん、ヨーロッパ諸国のように都市化が進んでいるわけではありません。北部だけは荒々しく厳しい地形になっていますが、そもそもそこには人が住んでいません。だからロシアで生活することはそれほど大変なことではありません。むしろ海外のほうが気候は厳しいものになっています。
神崎:
異常気象が起きていますね。日本も少し前まで冷房をつけていたのに今は暖房をつけてます。まるで秋が消滅したかのようです。ロシアではどんな暖房を使っていますか?
キャスター:
個人宅ではガスボイラーを使用しています。お湯が高圧で配管を流れ、家全体を暖めます。
神崎:
お湯で家を温めるんですか?
キャスター:
そうです、温水の原理はほとんどすべての暖房の根幹をなすものです。ガスボイラーは家中を循環する水を温めます。電気ボイラーや薪ストーブも、まったく同じ原理です。空気を暖めるよりも水を暖める方がはるかに利益が大きいのです。水は熱を均一に分散させ、長時間保持します。水を使わない電気式の暖房もあります。例えば、各窓の下には専用のヒーターが置かれています。
神崎:
このようなものですか?子供の頃、海外の映画などでたまに出てくるコレが何なのか分かりませんでした。
キャスター:
それは古いタイプですね。今でも見かけることはありますが、実用的ではありません。場所を取りメンテナンスも大変です。金属が内部で腐食し、パイプが破裂することもあります。現在ではこのタイプが使われています。メンテナンスが容易でコンパクトなのが特徴です。
神崎:
オシャレですね。これもそうと知らなければ暖房器具だと分からないかもしれません。
キャスター:
しかし電気で温めるのは非常にコストがかかります。ロシアは貧しい国ですが、それでもガスは一番安い。都市部にいたってはガスは無料で、好きなだけ使うことができます。電気で暖房する人はほとんどいません。電気は高価で不安定。深刻な停電が発生し機器にダメージを与えることもあります。
キャスター:
(話は戻って)ロシアではすべての人が白人ではありません。アジア人が多いですね。私自身、アジア人とのクォーターです。純血のロシア人は珍しくなりました。ウオッカももはや「神話」の存在です。まったく飲まないわけではないですが、他の国に比べて多くはありません。飲まれていたのは単に最も値段が安く簡単に酔えるため、酔っ払いが好んでいたというだけです。
神崎:
その酔っ払いの姿が映画などで面白おかしく誇張して描かれ、今のイメージが広まったというわけですね。
キャスター:
しかしウォッカには紛れもない利点があります。それは、最も安全であるということです。ワイン、コニャック、ビール、ウイスキー、どれも不純物が多い。体に余計な負担をかけてしまう。村に住んでいるロシア人の多くは自分でお酒を作っています。多くの人がブドウ畑を作り、ワインを作っています。しかし多くの場合、それは単なる密造酒です。
神崎:
日本のアルコール飲料はどんどん値上がりして買いにくくなっています。日本も主婦が自宅で密造酒を作る時代が来るかもしれません。
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キャスター:
現在、日本文化の普及に伴い、政府はあらゆるものを禁止しようとしています。今のところ成功していません。しかし国家機関の手によってpixivは多くのアカウントを削除しています。私たちの国では、政治的なジョークで刑罰を受けるのはずっと簡単です。毎年のように新しい法律ができて、生活が苦しくなります。10年以上前の投稿でも有罪になることがあるそうです。なので私は定期的にTwitterの自分のツイートをすべて削除しています。現代ロシアのもう一つの問題である「ゼノ愛国主義」についても触れておきましょう。現代のロシアには2つのプロパガンダ勢力が存在します。一つはメディア。年配の方は「自分たちの周りには敵がいて、気を許せばすぐに奴らが襲ってくる」と純粋に信じています。彼らは外国のものをすべて嫌う。彼らはとても貧しい生活をしていますが、それを誇りに思っています。彼らにとってアメリカは純粋な悪なのです。もう一つのプロパガンダはYoutubeのストリーマーたちです。若い人たちもその影響を受けています。彼らにとっての敵、純粋な悪は自分の国です。一方、海外のものはすべて自動的に良くなる。例えばロシアの普通の料理を、その名前の中の単語を1つ英語に変えて、さらに3倍の値段で売り出すとします。すると若者たちが喜んでそれを買っていくのです。これらの若者たちはネット上で「Porridge」と呼ばれています。
神崎:
なんだか日本とは逆の状況のように聞こえますね。
キャスター:
どちらも非常に愚かな人間で、現実が見えていない。そしてそのために一般の人々が苦しむ。私たちはただ自分の人生を平和に過ごしたいだけです。ゲームをしたり、好きな映画を見たり、本を読んだりして、静かに過ごしたい。そして、普段の生活に必要なお金を十分に確保すること。
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まとめっていうかこの記事自体がまとめである。実際はこんなに整然としておらず、お互いに書きたいことをざーっと列挙して書き殴ってるので話題ごとに分類して話が繋がるように整理するのがとても大変だった。沙羅曼蛇の4ボスが強すぎる件とかここに書ききれなかったことも沢山ある。しかし普段知ることのできないロシアの内側のことを知ることができたのは良かった。ネタがマニアックすぎて深く切り込めなかったところが多々あったことは反省点だな。
話を聞いてて思ったのはやはりロシア人は強いということだ。確かに経済的に貧しく法的な規制も多いかもしれないが、その自分たちの境遇を嘆くどころかそれを楽しんでさえいるように見える。ネットに政府の悪口を書くと逮捕される話なども、私からすればとんでもないと思うが当の本人たちはそれほど深刻に考えていないようだ。
ちなみに翻訳にはDeepLを使ったが相当気を使って分かりやすく書いても意味のわからない文章になることが多く、AI技術もまだまだ大したことねえなと思った。
2021/10/31