STGを作ってみた感想

 何事にも外から見てるだけでは分からんこと、自分がその立場に立ってみて初めて理解できることってもんがある。今までプレイヤーとしてしかゲームに触れていなかった自分が、何を思ったか畏れ多くもゲーム制作に手を出してからだいたい1年が経った。その活動の中で分かったこと思ったことなどを書き連ねる(書き散らすとも言う)。

[敵配置むっずい]

 良いSTGを作るには良い敵配置が不可欠。と言うのは簡単だが、じゃあどんな配置にすればゲームが面白くなるんだよって実践的なことを考えると、これがまた難しいのなんのって。またさらにそれを複雑にしているのが敵の耐久値の問題だ。どれくらいショットを当て続けたら敵が破壊されて次の敵が出てくるかという、そのタイミングの調整がもう気が狂うほど繊細で気を使わなければならない。雷電や怒首領蜂などの歴史に名立たるタイトルたちがいかに優れたゲームデザインであるかを身に染みて再認識した次第だ。「斜めに戦車の列を走らせる」はSTGのデザインにおけるひとつの発明ではないかと思う。何故そうなのか理論的なことは分からんが、あの配置をやるだけで自然とゲームが面白くなるんだよな。自分のゲームでは地上敵を設置できない都合上あまり有効活用できなかったが、今後もスキあらば真似していきたいところである。

こういうやつ。

[無駄弾は無駄ではない]

 主に弾幕STGにおいて無駄弾とか魅せ弾とか呼ばれるものがある。自機のいる方向とはてんで無関係なあさっての方向にばら撒かれる弾のことである。普通にプレイしていたらまず当たることなど無いまさに無駄な弾ではあるが、これがあることで画面が派手で見栄えがよくなるし、なんかすごい攻撃が来たけど避けれているという万能感をプレイヤーに与えることができるため、弾幕STGでは一種の様式美のようなものになっている。しかし自分で実際に作ってみたところ、「安置潰し」という単なる演出以上の機能性があることがよく分かった。特に人型とか火蜂みたいな本体の判定が小さいタイプのボスは画面上部に可動領域ができがちなので、横とか上とかに雑に敵弾をばら撒かせておかないと背後に回り込まれて簡単に突破されてしまう。っていうか実際に突破された。無駄弾は無駄ではないのだ。

[ユーザーは説明書を読まない]

 知ってた。まあ自分自身も読まないことけっこうあるし、それに対してどうこう言うつもりは…読めよ!readmeって書いてあんだろ!読めよ!ちなみにYoutubeの動画の概要欄なんかもちゃんと読むユーザーはほとんど居ないらしい。読めよ!

[インフルエンサーは強い]

 ゲームを作ったとして、それをどうやって認知させるかという話。私が最初に公開した「System45」はなんの経歴もないゲーム制作ド素人の初めてのゲームであるにも関わらず、想像以上に多くの人にプレイしていただけたのだが、それは自分の力ではないと断言できる。最大の要因はSHMUP Creator(以下シュークリ)の公式が大きく取り上げてくれたことだろう。当時まだシュークリは発売されたばかりでまともにゲームを完成させている人はほぼ居ないという状態だった。そこに拙いながらもフルステージ通してプレイできる「完成品」が出てきたもんだから、公式が大々的にプッシュして各所でこのタイトルを話題に出してくれた、そのおかげである。その次のOpen Arms Maximumも出足こそ鈍かったものの、とある有名シューターの方がネットにプレイ動画を投稿してから一気に認知度が上がった気がする。ゲームメーカーがストリーマーにこぞって案件を出すのも納得だ。力ある者には媚びていこう!

[SNSは(たぶん)弱い]

 Youtubeとかに自分のチャンネルを持っていて、ゲーム配信や動画投稿をやってる人の間ではおそらく共通認識ではないかと思う。「SNSでバズってもチャンネル登録は増えないし再生も伸びない」…なんということだ!これはゲームでも同じなんじゃないかな。ツイッターなどに制作の進捗状況をアップして、それにいいねやリツイートがたくさんついたとしても、ぶっちゃけそのうちのどれほどが実際にプレイしてくれるかはだい〜ぶあやしいところがある。そりゃまったくの無駄ではないし、宣伝しないよりはしたほうがいいに決まっているが、だからといって「SNSでたくさん反響があったからこのゲームは大ヒット間違いなしだぜ!」みたいに思ってると、リリース後の現実の数字を見て心に多大なダメージを負う危険があるのであまり入れ込まないようにしたほうがいいと思う。

[絵が描けないとキツい]

 STG用のグラフィック素材が無い。もうシャレならんくらい無い。いくつもの素材サイトを渡り歩いても有料のものすらほとんど見つからない。よしんば見つかったとしてもだいたい自機のみとか爆発エフェクトのみとかで絵柄がまったく統一できないので、使用できる範囲は極端に限られてしまう。同人やインディーズのSTGが宇宙ばっかりな理由が分かった気がする。私の場合はRPGやシミュレーション用の素材をどうにかこねくり回してなんとかそれっぽくして使っている。私のゲームでどういう構造をしているのかよく分からない変な敵が多いのはそのためだ。

お前らはいったいどういう敵なんだ。どっから弾出してんだ。

[ゲーム制作は苦しい?]

 ツイッターなんかを眺めてるとよくゲーム制作者の苦しみや葛藤の声が聞こえてくる。良いアイデアが浮かばない、モチベーションが上がらない、エディタを立ち上げてもYoutubeやツイッターばかり見て作業が進まない……などなど。正直なところ、自分の場合はこうしたものとは無縁だった。ゲームを作っている間はクッソ楽しいの一言しかなかった。思い通りのシステムが実装できなくて悩んだり、弾幕の作り方に苦戦したりといったことはそりゃまあ多々あったが、そういった問題をなけなしの知識と技術を総動員してなんとか乗り越えていくのもまた挑戦しがいがあって楽しく、結局のところ全部楽しかった。しかも制作ソフトの使い方に慣れていくにしたがって次々に新しいことができるようになって、次々に新しいアイデアが浮かんでくるので、作れば作るほどもっと作りたくなって永遠に作業し続けてしまう。まあ私の場合は楽しいところだけつまんでるからというのもあるだろう。ゲームで使う素材は基本拾いものだし、そもそもシュークリ自体が面倒な実装作業をスキップするためのソフトであるとも言える。キーコンフィグなんかは普通に自作すると死ぬほど面倒な機能らしく、苦しんでる作者さんをよく見かける。自分では絶対やりたくない作業だ。

SHMUP Creatorにはかなり高機能なグラフィック設定やキーコンフィグなどが最初から組み込まれている。すごい。

[バグは出る]

 バグは出る。あらゆる状況を想定して考えうる限りの対策を講じ、何度も何度もテストプレイを重ね、穴という穴を片っ端から塞いでもはや万全の状態だと思っても、ゲームを公開した瞬間に新しい修正点が見つかる。何故なんだ!お前ら今までどこに潜んでたんだ!と叫びたくなる瞬間だ。ゲーム的な構造がそれほど複雑でないSTGでもこんなにも不具合が見つかるのだから、膨大なコードが複雑に絡み合って動いているRPGやシミュレーションなどそりゃバグの100個や200個ぐらい出るよなって感じ。人間は不完全な生き物だ。ならば人間が生み出したものもまた不完全なのは当然のことなのだ。

[まとめ]

 足らねえなぁ!こんな1年ぽっちちょっとゲーム作りの表面を舐めただけじゃあ、まだまだ何も分からねえなぁ!というわけで今後もヒマがあったらなんか作っていきたいと思う。ワシが作りたいSTGはあと30個ぐらいあるぞ。もっとも、私のスタンスとしてはあくまで自分はプレイヤー寄りの人間であってクリエイターではないと思っているので、ゲーム作りが活動のメインになることはないだろう。

2023/04/02

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