MAIDEN COPS

個人的評価 ★★★★
オススメ度 ★★

 例えば無双系、例えば弾幕シューティング、そういったゲームがなぜ面白く、なぜゲームとして成立するのか。それは「プレイヤーが強い」からだ。大量の敵に囲まれても、隙間がびっちり詰まった敵弾が押し寄せてきても、それらを凌駕するほどにプレイヤー側の性能が高いからこれらのジャンルは成立するのだ。もし弾幕シューの自機の当たり判定がめちゃくちゃデカくてショットが豆鉄砲みたいな貧弱さだったらどうだろう。弾は避けれないし敵は倒せない、それはもうゲームにならない。当然のことである。

 ……が、それをベルトスクロールアクションでやっちまったのがこのゲームだ!可愛い女の子に釣られてホイホイやってきた紳士たちを待ち受けるのはひたすらに無法、理不尽、アンフェアなステージが延々と続くデスロード。敵は多く、体力が高く、攻撃力も高くて範囲も広い。1面からいきなり画面の端から端まで飛んでくるナイフ野郎みたいな敵がわんさか出てくる。すべてのザコ敵に起き上がり無敵があり、ダウンしたところに打撃を重ねても絶対にこっちが一方的に撃ち負ける。フラフラ動き回ってアクティブに攻めて来ないからといってこっちから殴りに行くと、攻撃範囲に入った瞬間に超反応で向こうから攻撃を差し返してくる。ついでにこの世のあらゆる物がプレイヤーを憎んでいて、そのへんを走ってる車とか道脇に置いてある水道管が何故かプレイヤーを殺しにかかってくる。いったいオレが何をしたというんだ……。

 ボスはさらにヤバイぞ。何しろ無敵だからな。いやマジで。ボスの当たり判定が消えて無敵状態になる時間がめちゃくちゃ長い。しかも視覚的にそれを判断する方法は無いので、チャンスだと思って攻撃を当てようとするとスカってノーダメージどころか、逆にこっちがカウンターされて死ぬ。ボスに対抗できる唯一の攻撃手段はゲージを消費して出せる必殺技のみだ。これはボスの無敵状態を無視して強制ヒットとなる特性があるため、実質ボスはこの攻撃しか当たらないと思っていい。もはや強いとか難しいとかいう次元の話じゃねえ!

 しかし考えてみればベルスクというのはそういうものだった気がする。ファイナルファイトの2面ボスだってまともに正面から殴り合うのは無理ゲーだし、戦国伝承2001のラスボスの必殺技なんて敵が使ってきていい性能じゃない反則技だ。だがそういった理不尽に対して、敵のアルゴリズムを研究しパターン化やハメ技を編み出し、時にはバグすらも利用して対抗してきたのがベルスクプレイヤーたちの歴史である。仕様の穴を突いて作者の想定していない攻略法を探すこともまた「ゲーム攻略」のひとつの形だろう。

 このゲームも同様で、確かに無法と理不尽だらけでまともに戦えないゲームではあるが、まともじゃない方法ならばじゅうぶん戦えるようになっている。本作でのある意味での正攻法、それは「ゴリ押し」だ。エブリエクステンドで残機はどんどん増えるし1UPアイテムもそれなりに手に入ることだし、もういっそ敵の攻撃を避けるとか上手く立ち回ろうとするのは最初から諦めて残機と体力で強引に押し通るのである。特にゲージ技を確実に当てていくのはとても重要。死ぬとゲージマックスの状態で復活するので、1機ごとにゲージを無駄にせず「しっかりゴリ押す」ことを徹底すれば実のところワンコインクリアはそんなに難しくない。プレイヤーが強くて気持ちよく暴れられる現代的なベルスクが遊びたいならFight'N Rageがあることだし、あっちと差別化するという点でもまあこういうゲームもたまには「アリ」なんじゃないかと思う。

 

[動画]

[steam] maiden COPS アーケードモード ニーナ 1cc

[リンク]

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