ゲームデザインに正解は無い。そんなモンがあるなら誰だって今日から神ゲー連発の一流クリエイターになれるし、クソゲーなんてものが生まれる道理は無いはずだ。とは言え「なるべくこうするのが望ましい」という最大公約数的な近似解は存在する。本作はそんなSTGにおける近似解に限りなく近づいたゲームのひとつだと言えるだろう。
デザインの方向性・基本的な設計思想は前作コスモドリーマーをベースとして引き継ぎつつも、前作にあった小さな穴を確実に潰して、よりスマートに洗練されたゲームになったというのが個人的な印象。かつて私がコスモドリーマーについて書いた時、不満点のひとつとして背景…つまりステージごとの特徴の薄さについて言及した。「視覚的な特徴に乏しい」と。それが今作では背景に描かれた地形やそこに設置された地上敵が大幅に増えたことで各ステージがとても個性的になった。淡いファンシーなステージからギラギラした色使いのハードなステージまで、先に進むたびに雰囲気がガラリと変わってとてもバラエティに富んだ構成になっている。
キャラクターやストーリー面についても同様だ。前作はキャラクター同士の会話などが一切無かったため、自分が何と戦っているのかどういう話なのか最後までよく分からんままだった。このサイトでは「キャラにセリフのひとつでもあればよかった」などと書かせてもらったわけだが、今作はそこもバッチリ対応済み。主人公も敵キャラもガッツリ会話シーンを披露して盛り上げてくれるし、導入部分のストーリーもオープニングで詳しく説明してくれる。私が前作で感じた小さな引っ掛かりがことごとく解消されていて、もはやつけ入るスキも穴も無い完成されたゲームになっている。もしかして作者さんここ見てる？んなワケない？
不満という程ではないが気になったところをあえて挙げるとすれば、敵がちょっと硬くなった（気がする）ところだろうか。今作から導入されたいわゆるハイパーシステムの影響か、敵を倒し切れなくて物量に押されてしまう場面がけっこうある。あとこれは前作からそうなのだが、真ボス自体の強さよりもその出現条件を満たすほうが難易度が高いため、真ボスが出た時点でほぼ勝ち確、せっかくの最終決戦が消化試合みたいになってしまう。作者さんここ見てたら次は真ボスの出現条件をもうちょっと緩くお願いできませんか。
[steam] ライクドリーマー LIKE DREAMER all-tour nightmare+counter Ujako-BABD 真ボスALL